自分に自信がない人が「自分の良いところ」を見つける具体的な3ステップ
自分には良いところなんてない、どうせ自分なんて、と感じることはありませんか。自己肯定感が低いとき、自分の欠点ばかりに目がいき、良い部分に気づきにくくなることがあります。
自分の良いところを見つけることは、自己肯定感を育み、前向きに日々の課題に取り組むための大切な一歩です。しかし、いきなり「自分の良いところを10個書き出しましょう」と言われても、難しいと感じる方もいるかもしれません。
この記事では、自分に自信がない方でも取り組みやすい、自分の良いところを見つけるための具体的な3つのステップをご紹介します。心理学的な視点も踏まえながら、実践的な方法をお伝えしていきます。
なぜ自分の良いところを見つけることが大切なのか
自分の良いところに気づくことは、自己肯定感を高める上で基盤となります。自己肯定感とは、「ありのままの自分を価値ある存在として受け入れる感覚」のことです。自分の良いところや強みを認識できると、困難な状況に直面した際にも、「自分にはこれを乗り越える力があるかもしれない」「この部分は得意だから活かせる」と思えるようになります。
これは、心理学でいう「自己効力感(特定の状況において課題を遂行できるという自信)」や、「レジリエンス(困難からの回復力)」を高めることにも繋がります。自分の良いところを知っていることは、心の支えとなり、心理的な壁を乗り越える力になるのです。
自分の良いところを見つける具体的な3ステップ
では、具体的にどのように自分の良いところを見つけていけば良いのでしょうか。ここでは、今日から実践できる3つのステップをご紹介します。
ステップ1:過去の「小さな成功体験」や「乗り越えた経験」を振り返る
私たちは、大きな成功だけでなく、日常生活の中にもたくさんの「できたこと」や「乗り越えたこと」を経験しています。しかし、それらを当然のこととして見過ごしてしまうことが多いのです。
- 具体的な方法:
- ノートやスマートフォンのメモ機能を用意します。
- 最近1週間、1ヶ月、あるいは過去1年を振り返ってみましょう。
- 仕事でうまくいったこと、人間関係で少しでも改善したこと、個人的な目標を達成したこと(例:早起きできた、散歩した、新しいレシピに挑戦した)、困難な状況を乗り越えた経験(例:苦手な人に話しかけた、失敗から学んだ)、さらには「疲れているけど頑張って出勤した」といった当たり前だと感じることも含めて書き出してみます。
- それぞれの出来事について、「その時、自分はどんな工夫をしたか」「どんな能力や性格が役に立ったか」を考えて書き加えてみましょう。
例えば、「苦手なプレゼンをやり遂げた」という経験であれば、「準備を怠らなかった」「緊張しながらもやりきった粘り強さ」といった点が見えてくるかもしれません。「職場の人間関係の小さなすれ違いを解消できた」なら、「相手の立場を想像しようとした」「冷静に話し合った」といったコミュニケーションにおける良い点が見つかる可能性があります。
このステップでは、結果の大小ではなく、そこに至るまでのプロセスや、その時に発揮された自分の行動や内面に焦点を当てることが重要です。
ステップ2:他人の「褒め言葉」や「感謝されたこと」を記録する
自分で自分の良いところに気づくのが難しくても、他人は意外と私たちの良い部分を見てくれています。特に、日頃言われる褒め言葉や、感謝された経験の中には、自分の強みや魅力が隠されています。
- 具体的な方法:
- 小さなノートやアプリなど、「褒められ・感謝リスト」を作る場所を決めます。
- 仕事やプライベートで言われた褒め言葉(例:「〇〇さんの資料はいつも分かりやすいね」「いつも丁寧に話を聞いてくれてありがとう」「一緒にいると安心するよ」)を、言われた状況と一緒に書き留めていきます。
- 他人から感謝されたこと、頼りにされたことなども具体的に記録します。
- 記録する際は、単に言葉を書き写すだけでなく、「その言葉から、相手は自分のどんな点を評価してくれたのだろうか」と少し考えてみましょう。
最初は恥ずかしいと感じるかもしれませんが、これは決して自慢するためではありません。客観的な視点から自分の良い点を知るための、大切なデータ収集です。否定的なフィードバックに比べて、肯定的なフィードバックは忘れがちですが、意識的に記録することで、自分が他者に与えている良い影響に気づくことができます。
ステップ3:「当たり前」の中に隠された「自分の価値観や長所」を見つける
私たちが「当たり前」だと思っていることの中にこそ、その人らしさや、他の人にはない強みが隠されていることがよくあります。例えば、「時間を守る」「整理整頓が得意」「人の話を丁寧に聞く」「困っている人を見ると手助けしたくなる」といった行動は、自分にとっては当たり前でも、他人から見れば素晴らしい長所である可能性があります。
- 具体的な方法:
- 自分が日頃、無意識に行っていること、特に「これくらいできて当然」と感じている行動をリストアップしてみましょう。
- 友人に「私のどんなところが良いと思う?」と聞いてみるのも良いでしょう。自分では気づかない「当たり前」を教えてもらえることがあります。
- リストアップした行動について、「それはどんな価値観に基づいているのだろう?」(例:時間を守る→誠実さ、責任感)「それはどんな能力の表れだろう?」(例:整理整頓→計画性、効率性)と考えてみます。
- また、「どんなときに心地よさを感じるか」「どんなことに時間を使っているときが楽しいか」といった、自分が大切にしている価値観や興味を掘り下げることも、自分の良いところに気づくヒントになります。
このステップは、自分自身の内面と丁寧に向き合う練習です。当たり前の中に隠された自分の特性に気づくことで、それが個性や長所であると認識できるようになります。
見つけた「良いところ」を活かすには
これらのステップで見つけた自分の良いところは、ただ見つけるだけでなく、意識して日々の生活に活かしていくことが大切です。
- 見つけた「良いところリスト」を時々見返す。
- 具体的な行動や考え方として、意識的に使ってみる。
- ネガティブな気持ちになったときに、「でも、自分にはこんな良いところもある」と思い出す練習をする。
最初は小さくても大丈夫です
自分の良いところを見つける作業は、すぐに劇的な変化をもたらすものではないかもしれません。最初に見つかる「良いところ」は、自分にとっては些細なことに思えるかもしれません。しかし、その「些細な良いところ」の積み重ねこそが、自己肯定感を少しずつ、着実に育んでいくのです。
焦らず、まずは一つのステップから、できる範囲で始めてみてください。自分の良い部分に意識的に目を向ける習慣をつけることが、自信を取り戻し、心理的な壁を乗り越えるための確かな力となります。